「もう逃げ道はない。花菜の両親にも挨拶に行く。」


「…………。」


「同期には婚約した事を話せよ。」


「なんか………雰囲気が変わった?なんか黒くない?」


「いまさら?落とすまでは男も猫を被るよ?」


「………。」



健人さんの唇が何度も触れる。



「健人さん、お風呂に………。」


「後で。」


「でも寝るかも。」


「朝、ちゃんと起こすし、ご飯も作る。」


「でも。」


「抱いたらダメ?」



強請るような声を出す健人さんに言葉が詰まる。



「ダメ?」


「………ダメじゃない。」


「なら黙って。」



健人さんのキスに目を閉じた。そのまま健人さんに身を任せれば、深い眠りに落ちていった。



「今日から一緒に暮らそう。」


「……………うん。」



甘い囁きに自然と頷いていた。