健人さんが私の左手を握った。その行動に健人さんを見上げれば、じっと私を見つめる瞳に捕らわれる。



「花菜、結婚してくれるか?」


「何?さっき………。」


「ちゃんと言いたいんだ。」



私の言葉を遮り、私の頬に両手を添える。近づく距離に鼓動が速くなる。



「花菜、結婚しよう。ずっとずっと一緒に暮らそう。」


「健人さん………。」


「結婚しよう。」


「はい、これからも宜しくお願いします。」



笑みを浮かべれば、強く引き寄せられ、腕の中に抱き締められた。



「花菜、幸せにする。」


「うん。」


「辛いことがあれば、二人で乗り越えよう。」


「うん。」


「約束して?一人で悩まないで俺に話して。抱え込まないで。」


「うん。」



体を離され、私の顔を覗き込む健人さんの目と見つめ合う。



「それと………朝帰りは許さないから。」


「えっ?」



終わった話だと思っていたが――――。