「止めない。例え玉の輿目当てでも………堕ちたのは俺だ。」


「そんな健人さんに堕ちたのは私。」



近づいてくる健人さんの顔に目を閉じた。触れる唇がすぐに離れていく。


目の前にある健人さんの瞳を見つめる。



「思ったより反対されなかったね?」


「……………ムードが壊れる。」


「だって、もっと反対される覚悟してたから。」



近づいていた顔が離れ、健人さんが力なくソファーに凭れ掛かった。



「孫。」


「ん?」


「最悪、孫は作らなくてもいいのか?って言うつもりだったが、その前に親父達が折れた。」


「…………。」


「よっぽど孫と余生を楽しみたいみたいだ。」


「………。」


「沢山作る約束したから。花菜も同意したよな?」



ニヤニヤとする顔は両親と同じだ。



「もしかして………始めからお父さん達に嵌められたのかも。」


「そんなわけ………。」


「結婚させて孫を見たいから。」