「キスぐらいはするだろ。」


「なっ!」



健人さんの言葉に頬が一気に染まる。



「可愛らしい。頬が赤くなってるわよ。」


「だろ。」



頬を隠すように両手で押さえる。



「健人、約束だ。二ノ宮グループは守れよ。兄弟で盛り上げていけ。」


「親父、ありがとう。」


「長嶺さん、いや花菜さん。健人を頼むよ。憧れの仕事も辞めさせる形になるが。」



私を受け入れて貰えた事実に泣きそうになる。



「私こそ、ありがとうございます。不本意だった私を受け入れて貰えて。」


「健人の言う通りだ。大きくするより守ればいい。それに孫に囲まれて暮らしたい。」


「そうよ。でもマナーは習って貰うし、レセプションにも出席して貰うわ。二ノ宮家に嫁ぐ困難は二人で何とかしなさい。」


「はい。」



お父さん、お母さんの言葉に大きく頷く。



見えない未来はもうない。


健人さんと見える未来を大切にしたい!



「これからも宜しくお願いします!」



深く頭を下げて挨拶をした。健人さんの手が優しく頭を撫でた。