背中を這う手の感触に覚醒していく。



「花菜、起きれるか?」


「ん?朝?」


「もう昼は過ぎた。」


「もう少し。」


「駄目。」



健人さんが背中に唇を這わす。その刺激に目が一気に覚めていく。



「健人さん、ちょっと。」


「覚めた?用意して出掛ける。今日は家にいるから。」


「?」



訳がわからなくて首を傾げる。



「親に紹介する。」


「………いい。健人さん、無理しなくて………。」



健人さんが覆い被さってきた。驚きに目を見開いた。



「紹介する。もう逃がさない。」


「………反対される。健人さんの結婚相手は別でしょ?」


「別じゃない。俺は親父にもお袋にも伝えた。結婚したい女はいると。でも反対されたのは認める。」



健人さんが真っ直ぐに私を見つめている。その瞳を見つめ返す。



「反対されても………花菜だけは譲れない。」


「………。」


「逃げるなら、今すぐに紹介する。俺は花菜じゃないと駄目だ。」