昨日の夜、電話では何も言ってなかった。


今朝も何事もなく出社して、進捗会議の為に社長室に向かった。


そして少し開いていた扉から聞こえてきた声。私に現実が突き付けられた気がした。



「遊びは止めなさい……か……。」


「花菜、どうしたの?」



隣でお弁当を食べていたあゆみが顔を覗き込んできた。


いつものメンバーで公園でお昼を食べていた私は考え事をしていたようだ。



「遊びは止めなさいって?」


「えっ?あっ、うん、ちょっとね。」


「それって………社長?」



勘の鋭い葵が指摘する。



「遊び?長嶺との付き合いの話?」


「………なんでもない。」



奥寺の言葉に答えれない。


社長は私を好きだと言ってくれてる。


遊びで付き合ってるとは思ってもいない。



「そう言えば………今日、二ノ宮コーポレーションの社長が来てたよな?社長の父親だろ?」


「…………うん。」


「ふ~ん、その父親に言われたんだ。」


「私に言ったわけじゃないよ。」



落としていた視線を上げて奥寺を見つめる。