「………な、花菜。」


「ん?」



あゆみの声に視線を上げた。お弁当を見つめたまま考え込んでいたようだ。



「何々?やっぱり同棲してるの?」


「えっ?違うよ。ただ『あゆみが飽きる』って言うから。『そうなのかな?』って。」


「俺は同棲した事あるけど、喧嘩とか別れる時に大変だったけど。」


「「…………。」」



藤村の発言に静まり返る同期。皆の視線が藤村に集中している。



「同棲してたんだ………。」



葵の驚いた言葉が静かに流れた。



「同棲は別れる時に大変だぞ。長嶺も同棲するなら覚悟して同棲とかしろよ。簡単にすると大変だぞ。」


「…………。」



葵の表情をチラリと見る。藤村を見つめたまま動かない。



「俺も別れるつもりはなかったから同棲したけど。別れるのは突然だからな。」



ポツリポツリと藤村が言葉を口にした。私は葵の表情が気になっていた。



「別れるのは突然だから…………。」



藤村の小さな呟きが胸に突き刺さった。



私と元カレも別れは突然だったな………。