《櫻井亮 Side》



付き合ってから1ヶ月経ち、


初めてのデートから何度か、映画や遊園地に遊びに行った。


学校でも少しずつ話すようになったが

放課後一度も一緒に帰ったことがない。


一緒に帰らないのは、周りの視線が気になり、麗のことが心配だからだ。




付き合ったことは公表するつもりはないが、

一緒に帰ったら確実に噂になる。


麗とのことが噂になるだけで、嫉妬する女子の矛先が麗に向くことが怖かった。




(本当は毎日ずっと一緒にいたいんだけどなあ… 俺、本当にベタ惚れだよな…)


「亮〜〜 なにその感慨深けな顔は(笑)」


「は?俺そんな顔してた?」


「麗ちゃんでしょ。バレバレだよ。」


「・・・・・・・・・」


「図星で黙るのやめたら?(笑)(笑) で?俺何か相談乗ってあげよっか?」


「なぁひろと、俺さぁどうしよう。」


「え、珍しく素直な亮。どした?よし、この俺がなやみ解決策を考えてあげる。
もしかして麗ちゃんと喧嘩したとか??」



俺はこいつにだけ、麗と付き合ってることを伝えてある。

やっぱり大翔にだけは何でも話せるんだよな…。



「いや、そういうのじゃなくて、俺さぁ、女子に群がれるじゃん。バスケ王子とかって言われて。」



「あ、うん。ま、別に?俺も群がれるけど?」



「・・・・」



「…で?」



「それで、俺が学校で麗と仲良くしてたら、そいつらに絶対嫉妬されて麗が目つけられると思う。」


「だろうね。」


「でも俺は学校で話したいわけ…」



「学校以外であってるんじゃないの?」



「いやそうなんだけど…ほら、その、」


「……(笑)(笑)」


「は?何だよ大翔」


「お前ほんとに好きなんだな(笑)学校でも話したいぐらいに、ずーっと一緒にいたいんだ?(笑)あのクールなバスケ王子が、隠れ美少女にベタ惚れとか(笑)みんなに言いたい〜〜っ」


「い、言うなよ 真面目な相談なんだよ…」


「分かってるって。
ん〜〜 一個人の意見として、聞き流してもらってもいいし、求めていた答えではないと思うけど、

俺は、麗ちゃんのことを思うと、学校では話しかけるべきじゃないと思うよ。

目つけられたら正直麗ちゃんが一番辛いし、
2ヶ月後には亮は留学でアメリカでしょ?
アメリカから麗ちゃんを守ることなんてできる?」



「…そ、う、だよな」


「うん。辛いと思うけど、彼女のために我慢するべきだと思う。そんぐらい我慢してやんないとダメだと思う。麗ちゃんも話したいかもしれないけれど、分かってくれるんじゃない?あの子なら」



「うん…俺のわがままで辛い思いさせるわけにはいかないし、あいつも分かってくれるって思う」


「うん!こんなことで悩むほど、真剣に好きだったとは亮も大変だね〜〜」


「うるせえよ、まぁでも、ありがとう」



「えっここまで素直な亮、気持ち悪〜〜っ!!」


「だから一回だまれって」



やっぱり大翔に相談してよかった…



そうだよな。あと2ヶ月しか横にいてあげられないし。

麗が1人になって、守ってあげることもできない。



辛いけど、その分外で会えばいい……