時刻は18時半。
夏だけど、もう、外は暗くなっていた。
ついた場所はどこかの広い公園。
自転車に降りた櫻井くんは、二人乗りで30分も自転車を漕いだのにひとつも辛くなさそう。
「緒方、俺がいいって言うまでずっと下向いたまま歩いて。
手を俺がひっぱって歩くから。」
「え?あ、うん。分かった。」
(なんだろ…?)
歩くこと5分ぐらい?
緊張しすぎて、時間が分からない。
だってさっきから、櫻井くんの手を握って、2人きりで歩いてるんだもん。
(私、今日、ドキドキしすぎて心臓持たないよ…)
櫻井くんがいきなり止まった。
「緒方、顔、あげていいよ」
言われた通り顔をあげて、
私の目の前に広がった景色は、想像以上に美しいものだった。
空満天に広がる星の数々。
「これって……!!」
あまりの美しさに言葉を失う私。
「プラネタリウムに行きたいって言ってたでしょ? でも星を見るなら絶対本物の方がいいし、ここ、星が綺麗に見えるので有名だから。」
「……ほんっとに、すっごい綺麗!!
都会にずっと住んでて、旅行もいかないから、こんな景色見たことない……っ!!」
「もしかして俺の地元、田舎っていいたい?(笑)」
「いや、そ、そうじゃなくて(汗)」
「うそうそ(笑)すぐ真面目に受け入れるよな(笑) 日向駅空気綺麗だろ?俺のお気に入りの地元。知ってくれて良かった。」
「本当にありがとう。」
「寝転んで見たら、もっときれいだけど?」
「え!!じゃ寝転ぶ寝転ぶ!!」
寝転んで星空を見ると、辺り一面が星で埋まっていて、まるで違う世界にいるみたい。
はぁ、綺麗すぎる。ずっと見ていたいかも…
と、星空に魅了されて、数分。
自分の状況に、今、気づいた。
(わ、わたしのすぐ横に、櫻井くんが、寝転んでる………っ!!!!!!!)
この状況やばい、デスヨネ??
寝転んだまま、おそるおそる櫻井くんの方に顔を向けると、
目があった…
(え、まって、なぜか目をそらせれない…っ)
「あ、あの…」
「緒方さ、俺、」
「は、はい」
「麗って呼んでいい?」
「え!あ!もちろんっ」
「じゃあ、麗も亮って呼んでよ」
「う、うん」
「じゃあ、今呼んで、亮って」
(ここで、いじめてくるのはずるいよ…)
「う、うん…
り、り、亮……っ」
(まってめっちゃ恥ずかしい… 絶対顔赤くなってる…
ってえ? 櫻井く、じゃなくて、亮も赤い…??)
「あーー!!!!もうやばい」
いきなり叫ぶ櫻井く、じゃなくて亮。
(亮に慣れない…)
「え、何が…??」
全然分かってない私。
「それ聞いてくる?」
っと同時に、
わたしの体が動かされた??
(ま、ま、まって!!! 何!どうなってんの今の状況……っ)
