《緒方麗 Side》



初めて電話をした日から、
私は櫻井君と何度も電話をするようになった。



電話では緊張せずに、櫻井君と話せる。



櫻井君は、電話でしょっちゅう私をいじめてくる。けど、言いたくないけれどそれも楽しくて楽しくて仕方がない。



でも本当は電話じゃなくて、学校で直接話したいけど、なかなか話しかけれないまま日が過ぎていく。

櫻井くんも私に話しかけてくれないし……



「はああああぁぁぁぁ……」


「なに!?麗!」


「え!?綾こそなに、」



「いやそんなに大きいため息ついて、何はないでしょ。」



「え?私ため息ついてた!?」


(やば、心の声が出てた)



「べ、別に大したことじゃないから気にしないで、、」


「私分かってる。櫻井君のことでしょ??」



「あ、あ、綾!?な、ナニイッテ、ルンデスカ?そ、そんなわけないじゃん!!」



「よくもまあ、そんな反応でそう言えますわ。」



(ば、ばれてる。完璧な図星じゃん。)


「うっ…。」



「麗さぁ、そろそろ気づいてるでしょ。」



「な、なにが?」



「え?ほんとに気づいてないの!?」



「え、なんのこと??」



「はぁ、鈍感にも程があるでしょ。。。
麗、今櫻井君について何考えてたの?」



「えっ。
えっと、電話じゃなくて直接学校で話してみたいなぁって、、」


「なんで?」


「なんでって、電話でしかそんなに話したことないからだよ。」



「じゃあ麗は、電話だけじゃ足りないんだよね?」


「う、うん……」


「なんで?」



「なんでって、それは……っ」



分かってる。



その先は、もう分かってる。



綾が私に伝えたいことは何か今気づいた。




私は彼が、スキ、なんだ。


電話じゃ足りないくらい、櫻井くんと話したくて、櫻井くんと一緒にいたいんだ。


それって恋。でしょ…?



分かってるけど、そんなこと口に出せない…



綾みたいに可愛くなくて、
恋愛に不慣れな私が、持っちゃいけない想いである気がしたら。





「麗はさ、もっと自分に素直な方がいいと思うよ?私、麗は気づいてない麗の素敵なところ、いっぱい知ってるし、自信を持ってみて、ね?」




「あ、綾っ…! ありがとう…っ」






そうだよね。

自分の気持ち、ちゃんと認めないと。


うすうすは自分で気づいてたかもしれない。


教室で出会った時胸が痛くなった理由も、
顔を見れない理由も、
電話じゃなくて直接話したい理由も。





でも、恋愛経験0の私、この気持ちをどうやって行動に移せばいいの…?


「よし!決まりっ!」


「へ?」


「麗!今からさ、美容院行かない??」



「えっ?なんで?」



「まぁまぁ、私に任せなさいっ!
本日、麗様美少女計画を実行します!!!」



「は、はああああぁぁぁぁぁ???」