《櫻井亮 Side》



「あの、どうしたんですか?急に電話って」





「いや、俺がただたんに、緒方と電話したくなっただけ。」





「…へ?? あ、あの? どういうことですか…?」




「どういうことって(笑) そのまんま(笑)
緒方は今何してんの?」



「い、今は、さ、櫻井くんと電話してます。」



「いや、それは知ってるって(笑)」




もしかして、緒方めっちゃ緊張感してる?



可愛すぎるんだけど。



普段の声もかわいいけど、電話越しの声いつもと違ってて、普段より幼く聞こえる。

こいつの声、俺の好きな声だ。



「で?何してんの??(笑)」



「あ、えっと、今はベッドに正座してます。」



「え?(笑)」



もしかして、天然??


頭いいのに??



こいつ、最強かよ。




頭良いいのに天然で、可愛くて、

そして、なにより一番は、他には流されない、自分を持ってる。




緒方麗は、

世間でいう、俺の どストライク


ってやつか…。




「俺、緒方が天然とか知らなかったんだけど(笑)」




「わ、わたしは天然じゃないです!なんで天然になるんですかっ」




「あーごめんごめん(笑)
それで?気になってたんだけど、なんで緒方は俺にずっと敬語なの?」




「え?あ、あの、それは……」



「俺らおんなじ学年で、おんなじクラスなんだけど?」




「し、知ってますよ!」



「あ、ほら敬語。タメ語にしないと、俺、怒るよ??」




「な、なんでですか!??」





あーやばい、俺のSの性格が出てきてる。




けど、なんか緒方のことはいじめたくなる。


俺は好きなコに片思いしてる小学生かよ。





「なんでも。 敬語は距離感じるから嫌なんだけど。タメ語で話して。
じゃあ、俺が怒るまで10秒ね。」




「うっ……。

わ、分かったよ。
櫻井くんのいじわる。」




何こいつ、かわいすぎんだろ。



「よく出来ましたー。」




「さ、櫻井くん、わたしのこと、お子ちゃま扱いしてるでしょ。」



「してないって(笑)」


「櫻井くんのばか。」


「ばか呼ばわりしていいの?」


「え、いや、」



「ってうそうそ(笑)あのさ、お前の電話の声って変な声」


って本心でもないことを言う俺。


「変な声じゃない!櫻井くんの声も、電話じゃ変わるね。」



「ん…もしかして変とか?」



「い、いや、むしろ逆っていうか。いつもより、なんか、聞き心地がいい。。
ずっと聞いてられるかも。」



まって。こいつ分かってて言ってんの?


そんなわけないよな…。



あーだめだ。

緒方がここまで無自覚だったとは……


外見だけじゃなくて、自分の言動についても分かってないな……。



「あー。そう?うん、なら良かったわ。それ言うなら、緒方の声もなんか甘えた感じ。」



「へぇ??? あ、甘えたって…!!そんな声じゃないっ!」



こいつの無自覚の破壊力はんぱねぇ……






って色々話してたらもう12時過ぎ…


緒方に付き合わせるわけにはいかないし、



「んじゃ、もう俺そろそろ寝るわ!今日はありがと。」


「いやこちらこそっ…、あの、楽しかったっ…です。」


「え最後の最後に敬語??(笑)じゃあ、おやすみ。」



「お、おやすみなさい!」




プチっ






電話を切ったらすぐに緒方からLINEが来た。





【夜まで電話ごめんね。おやすみなさい。】



【俺から電話したんだから(笑)おやすみ。】




…楽しかった。


電話が終わってからも、
頭から、緒方が離れない。



俺って、こんなに恋愛体質だったっけ……。





考えていたらいつの間にか、眠りの中入っていった…。