《緒方麗 Side》
高2の3学期。
わたくし、緒方 麗 (おがた れい)は
ただいま、とってもブルーな気持ちです。
なぜなら、今、スポーツ大会の競技決めをしているから。
2月に行われるスポーツ大会は、わたしの学校の中で、人気のある行事。
なぜかというと、それは……
「れーーいーーっ!! やばい!楽しみすぎる!」
「綾うるさい。って何が楽しみなの?」
「スポーツ大会に決まってんじゃん!!バスケ部のイケメンの祭典でしょ?
この行事の為に、女子たちは一年勉強がんばってるようなもんだよ!
麗ってなんでそんなにスポーツ大会嫌いなの?(笑)ほんともったいないよー。」
高梨 綾 (たかなし あや)は私の唯一の親友。
うるさいけど、とっても優しくて、中学からずーっと一緒にいるの。
綾にだけは、私は素直にいられる。
「はいはい。イケメンとか私に関係ない世界だし。ほんっと、女子ってイケメンが好きだよねーっ。」
って冷めてる私。
私は勉強しか興味がない。
学年では1番の成績を、高1からキープしてきた。
自分でいうのもなんだけど、頭だけは優秀だと思ってる。
でもそれ以外とは無縁の生活を送ってる。
特に恋愛。
中学からは好きな人もいない。
そして綾には
「神様仏様、勉強ばかの麗にどうにか恋する乙女の気持ちをを与えてやって下さい!!」
なんて祈られてる始末。
もういいもん。恋愛なんて私の住む世界にない。
私には勉強だけでいいの。
「で?どうするの?」
「ん?何が?」
「ちょっと麗、聞いてなかったでしょ(笑)。スポーツ大会の競技どうするの?」
「あ、ごめん、綾。(笑)
私は例年通り、キックベースにしよかな。ボール蹴るだけだし… 綾は?」
「わたしは、ドッチボール!
あのさ、今年は麗もドッチボールにしない!??」
「えっなんで!
ドッチボールとか絶対嫌!! 怖すぎる!そんなの無理無理っ」
「だって、ドッチボールは午前中に全部競技終わるんだよ?それなら、男子のバスケットボール全部観れるの!男子のバスケットボールは午後からだから。
お願い麗〜!」
「男子のバスケットボールの為に?? そんなに観たいの??
わたしはいいよ、バスケットボールとか別に観なくて大丈夫だもん。
ドッチボールとか出来ないし!!
ごめん遠慮しとく。」
「もー麗は、ほんとに男子に興味なさすぎ。
なんてったって、今年の男子バスケットボールは特別なの!
あのバスケ部ツートップが同じチームで出るんだから!!」
「は?へ?つーとっぷ?………?」
「あーごめんごめん麗が知ってるわけないよね。(笑)
櫻井くんと桃谷くんっていう2人がいるんだけどね。
その2人はバスケットボール部の、とっても仲良しコンビなの!
桃谷くんは身長は低いけど、とってもバスケが上手くて、バスケ部のキャプテン。
クラスではうるさくてやんちゃなムードメーカー的な存在で、
櫻井くんはバスケット部のエースで、何よりイケメン!!
いわゆるアイドルみたいな人で、学園ではバスケ王子って言われてる。
本人は嫌そうだけど。
櫻井くんは学園で一番だんとつにモテてるんだよ?知らないの?
まぁ麗は知らないか。(笑)
で、その2人が同じチームで出るから、バスケットボールの試合は見逃せないの!!」
「はぁ……。なるほど。」
綾の興奮に押される私。
「だから、麗、本当にお願い!一緒にドッチボール出よ!
バスケットボール観に行きたいのっ!!!!
一生のお願いっっ!!!!!
桃谷くんと櫻井くんのバスケの試合見逃したら、私絶対これからずっと後悔する!!!」
うっ…… 。
ここまで綾に言われたら、さすがになぁ……。
しょうがないか……。
「う、うん…!わかった! ドッチボールにするから!綾!落ち着いて!!」
「麗!!ほんとに???ありがとう!!
優しすぎる!!! 麗大好き!!♡
じゃあ委員長に行ってくるねー!!」
「あ、ありがとう…!」
あーーー。ドッチボールか……。怖すぎる。(汗)
勉強しかやってきてない私にとって、
あの豪速球で向かっくるボールは恐怖でしかない。(汗)
でも綾があれだけお願いしてたし。
仕方ないよね。
バスケットボールは全然興味ないけど、
親友のためなら、ドッチボール頑張って出るしかない。。。!!
よしっ。