『次の年のクリスマスには帰ってくる。
そんな不安な顔をするな。きっと大丈夫だ。心配しなくてもちゃんと帰ってくるよ。』

『あなた、もう行ってしまうの?』

『君にそんな顔をさせてしまってごめんね。でも、もう行かないと。』

『おとうさん、寂しいよ。』

『ロイ、お前は男だろ。だったら、泣いていちゃいけない。オリバーと一緒に父さんの分まで母さんを助けてやってくれ。』

『分かった!僕、おかあさんの手伝いちゃんとするよ!』

『おっ、オリバーは偉いな。』

『僕だって!僕だっておかあさんのお手伝いするもんっ!』

『おおっ、ロイもいい子だ。』

『あなた気をつけてね。』

『ああ。次の年のクリスマスにまた会おう。』

『ぜったいだからねーっ!!!』


でも、おとうさんは次の年もまた次の年もかえってこなかった。
ゆうびん受けに入れた手紙もさいしょはへんじが来たのに今はもう返ってこない。


おかあさんは、おとうさんは遠くに行ったのよ。と僕らに言った。
泣いていた。
でもぼくは遠くに行ったならさがしに行けばいいと言った。
オリバーも大きくうなずいた。
おとうさんは約束を破らない。
ぜったいに。
だから、きっといつか会える。
今はおしごとが忙しいだけだ。