「それに……私も楽しかったんです。
島本さんと一緒にいると、なんだかすごく落ち着けて…」

「え……」



ま、マジ…?
平川さん…ちょっとはにかんだ様子で、嘘を吐いてるようには見えないけど…
で、でも、こんなうまい話があって良いんだろうか?
僕は、こっそりと自分の太ももをつねった。
痛い…!
どうやら夢ではなさそうだけど、でも、そんな、まさか…



「あゆに言えなかったのは…
多分、後ろめたかったからだと思います。
あゆの彼氏であるあなたと、楽しいひと時を過ごしてしまったから…」

「え……」



平川さんにみつめられて、まるで僕は初めて恋をした少年のように、ときめいてしまった。



(あ……)



「僕もです。
僕も、なんだかすごく後ろめたい気がして…
あ、僕の場合は、嘘まで吐いてあんなことをしたんですから、当然のことですが…」

「いえ…そんな…」



照れくさい…
でも、嬉しい…
平川さんが、僕と同じような気持ちを感じてくれてたなんて。



(あ、そうだ…!)



「平川さん、あの時、落ち込まれてたのはどんなことですか?
良かったら、僕、相談に乗りますよ。」

「えっ!?」

平川さんが戸惑ってる。
今はそんなこと、言わない方が良かったか?
僕の悪い癖が出てしまった…そう思った時、あゆさんの声が聞こえた。