ふと視線を上げると、平川さんと目があって…
平川さんはその瞬間、さっと視線を逸らした。



どうしたんだろう…?



もしかして、ストラップに引いた?
喜んでくれたように見えたのは、僕の勘違いなのか?



「あ…あゆ、海が見たいって言ってたから、画像撮らなきゃ!」

平川さんは、どこか不自然にそう言って、スマホで外の風景を撮り始めた。



そうだよな…
やっぱり、変だよな。
突然、プレゼント渡すなんて…
それとも、あの時の口止めみたいに思われたんだろうか?



「あ、あの…平川さん…」

「な、なんですか?」



視線と視線が絡み合って、なんだか妙に照れくさい。
でも…せっかく二人っきりなんだから、今、聞かなきゃ。



「あ、あの……
喫茶店のこと…どうして相川やあゆさんに言われなかったんですか?」

「え…それは……
島本さんは、どうしてなんですか?」

「えっ!?」



質問を返されて、僕は狼狽える。
確かに答えにくい質問だ。



「あなたのことがなんだか気になって…
あなたと話したかったんです。」



なんて、そんなこと言えるはずがない。
それに、それは質問の答えからは少しはずれている。
僕が、喫茶店のことをあゆさんに話さなかったのは…きっと、後ろめたかったからだ。



そう思った時、僕は確信した。



僕は、やっぱり平川さんに惹かれてるんだって。