「あ…あ、ゆ……」

相川さんとあゆの姿はすぐに人ごみに紛れて見えなくなって…
ふと見たら、島本さんは困ったような顔をしていた。



「あ、あの……」

島本さんが何かを言いかけた時、私達の順番が回って来て…
私達は、押し込まれるようにしてゴンドラに乗り込んだ。



なんとも気まずい雰囲気…



「あの……」
「あの……」



奇しくも、私達の声が重なった。



「あ、えっと…スマホ、みつかると良いですね。」

「そ、そうですね。」



なんだろ?妙に緊張する……



「あ、あの…平川さん…先日はどうもありがとうございました。」

「え?」

突然、そう言われても何のことだかまるでわからず…



「ほら…喫茶店、付き合っていただいて…」

「あ、あぁ……」

島本さん、まだそんなことを…
私はただコーヒーを飲みながらしゃべってただけなのに。
なんだか顔に熱が集まる。



「え、えっと…お礼…なんて言えるようなもんじゃないんですが、良かったら、これ…」

そう言って、島本さんはバッグから小さな包みを取り出し、私の前に差し出した。