ｔｏｏ ｍｕｃｈ

「美穂ちゃん、皆の前でもう一度言うよ。
俺と付き合って下さい。」

そう言って、相川さんは頭を下げ、片手を差し出す。
他の男性からは冷やかしの口笛が起こった。
恥ずかしいけど…確かにちょっと良い気分…



（よし！女は度胸だ！）



「……よろしくお願いします！」

声が震えないように気を付けながら、私はそう言って、相川さんの手を握った。



「やった～！」

相川さんの無邪気な笑顔をちょっとだけ可愛いと思えた。
皆からの拍手が心地良い。
あまりにも軽い付き合い方だけど、その方が却って良いのかも。
こんな風に始まった恋愛だと、すぐに破局しても納得出来るっていうか…
って、付き合い始めたばかりで、別れることを考えるなんておかしいけど、正直言って長続きが出来る相手だとは思えない。



純也とはこんな軽い付き合い方じゃなかったもの。
知り合って、なんとなく気が合って…
知り合いからいつの間にか恋人になっていて…



そういえば、純也にはっきりと付き合ってくれなんて言われたことはなかったかもしれない。
そんなこと言わなくても、お互いに同じ気持ちだったから。