「疲れてませんか?」

「はい、大丈夫です。」



今日から僕達は、誰にはばかることなくどこへでも行ける…
こんな風に、ここでこそこそ会うのも、今日が最後かもしれない。



「本当にびっくりしましたよね。」

「そう…ですね。
あ、あの…島本さん…そろそろ敬語は…やめにしませんか?」

「あ…そうですね。」

「じゃあ、これからは敬語はやめるってことで……」

「は、はい。」



はいとは言ったものの、いざしゃべろうと思うと、なんだか妙に緊張してしまう。
急に話し方を変えるっていうのは、やっぱり変な感じだ。



「え、えっと……呼び方は…どうする?
ユキで良い?それとも、なにか別のにする?」

「え?僕は…なんでも良いけど…」

「じゃあ、ユキ…かな?いや、ユッキー…それとも雪彦…」

平川さんは、迷ってるみたいだった。



「ちょっと考えてみるね。
……それで……私のことは、なんて呼んでくれるの?」

「え?…そうだね…」



あゆさんは『美穂』って呼んでる。
相川は『美穂ちゃん』だった。
どうしよう?
やっぱり、相川とは同じじゃない方が良いかな?



「美穂で良いかな?」

「うん、いいよ。」

「じゃあ、美穂で…」



いつもファミレスでダベッてたって言ったら、「高校生か!」って、あゆさんに言われたけど…
今のやりとりを見られてたら「中学生か!」って言われそうだ。



大人の恋愛とは思えないようなこんなやりとりも、僕は嫌いじゃないけど…