「はい、どうぞ。」

「ありがとう!美穂ちゃんは、本当に家庭的だね!」

確か、平川さんとかいう人が、みんなに料理を取り分けてくれた。
みんなは嬉しそうにしてるけど、僕は本当はそんなことしてほしくない。
こういうのは今まで僕のやることだったんだから。



「島本さん…どうかしたの?何か嫌いなものでもあった?」

「えっ!?あ…い、いえ、別に…い、いただきます!」

僕は微笑みながら、料理を口に運んだ。
どうやら考え事をしていたせいで、僕は料理をみつめて固まっていたようだ。



やっぱり、僕にはまだ合コンは早かったか?
女性たちは、皆、可愛いし、明るくて雰囲気の良い人ばかりだけど、特に誰かに強くひかれるっていうのはない。



考えてみれば、今まで僕が好きになったのは、困ってる人ばかりだった。
たとえば、靴のヒールが折れてたり、突然の雨でずぶ濡れになってたり、酔っぱらって千鳥足になってたり…
そういう女性を見ると、僕は放っておけなくなって、つい世話を焼きたくなるんだ。
それが僕の恋の始まり。



だけど、今日の女性たちは誰も困ってない。
皆、ちゃんとし過ぎだ。
ちゃんとしてるから好きになれないなんて、あまりにもおかしな話だけど…