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「すっげーエロいな… その下着」
寝室のベッドに腰掛けた悠真が、目を輝かせながらそう言った。
そう、私は今、
彩から貰ったセクシーな下着を身につけて、悠真の前に立たされているのだ。
「あ、沙耶… ちょっとその手どけて… ブラがよく見えない」
悠真の言葉に私は慌てて首を振る。
「ダメ… このブラ、透け透けだから…」
隠してないと乳首が丸見えなのだ。
この下着、
実際に着てみると、想像以上にエロかった。
「え! それ、最高じゃん… 沙耶、よく見せてよ」
悠真の目の色が変わった。
「ごめん… ホントに無理」
「マジでか… あっ、じゃあ、後ろは?」
「後ろはTバックだから… もっと無理」
私はブルブルと首を振った。
「いやいやいや、俺、沙耶のTバック楽しみにしてたんだけど… ちょっとくらい見せてよ」
「ヤダ… 恥ずかしいもん」
「恥ずかしいことないだろ? 俺、沙耶のもっと恥ずかしいとこ、たくさん見てるぞ?」
「そんな言い方しないで! だいたい、こんなに明るい所でマジマジと見られるなんて聞いてないよ。ちゃんと下着は着たんだから、もう許して」
涙目で訴えると、悠真は笑いながら私の手を引き寄せた。
「分かったよ、沙耶… ごめんな…もうしないから。でも、その代わり、今日は下着のまま抱かせてくれる?」
耳元で悠真が囁いた。
「いいよ… でも、電気は暗くして」
「あー じゃあ、ダウンライトだけ」
「うん」
部屋の照明を落とすと、悠真は私を押し倒し、ブラの上から舌を這わせてきた。
「あっ… んっ」
シースルーのブラだから、舌の感触がヤケに生々しい…
乳首を強く吸われる度に、体がピクンと跳ねて甘い声が漏れた。
「沙耶、すっげー可愛い… 今日、俺ヤバいかも」
「え… あっ!」
途端に悠真の愛撫が激しくなった。
「沙耶…」
苦しげな顔で何度も私の名を呼んでくる悠真…
こんなに余裕のない悠真は初めてだった。
そして、私も
「ゆう…ま もお、許して… あっ、ん」
「沙耶… イッていいよ」
「ん… ゆ…う…ま」
この夜、私は悠真の胸で何度も意識を手放したのだった。
**
翌朝、出社すると、
私達の婚約の噂は会社中に広まっていた。
昨日、悠真があんなキスをしたのだから無理もない。
「もー 高本さんが彼女だったんですね… すっかり騙されちゃいましたよ!!」
なんて、後輩達からは怒られたけど…
それでも皆な祝福してくれた。
そして、
「ブーケトスは絶対私に投げて下さいね…」
すれ違いざまにそう呟いてきたのは、あの坂口さんだった。
彼女は三年前に結城さんの後任としてやって来た田辺さんとくっついて、今でもラブラブのようだ。
**
お昼休みになり、
資料室に行くと、悠真に後ろから抱き締められた。
「沙耶… さっき、同期の奴と何話してたの?」
「え? あー 加藤くんのこと? ただ、おめでとうって言ってもらってただけだよ…」
「それだけ?」
「うん」
「そっか… いや、俺さ、沙耶が俺以外の男と話してるの見るとダメなんだよ… 沙耶が他の奴とコンビなんか組んでたら、きっと俺の方が身が持たなかったよな」
ポツリと漏らしながら、悠真はため息をついた。
「悠真…」
「もう沙耶のこと、俺だけの胸に閉じ込めておきたい」
「何それ…」
私がフフッと笑うと、悠真が顔を近づけてきた。
「沙耶… キスしていい?」
と、その瞬間…
「ストップ、ストップ!ストップ! 俺、いるからな!」
奥の棚から、中岡さんが姿を現した。
「何だよ!おまえ… いたならもっと早く言えよ!」
悠真は中岡さんを睨みながらそう言った。
「おまえがこっぱずかしいことばっか言ってるから、出ていくタイミングを失ってたんだよ… つうか、そういうのは家でやれ」
「分かってるけど、とにかく沙耶が可愛い過ぎてコントロールきかないんだよ… 昨日なんかさ、俺の為にエロい下着きてくれて─」
「もう! 何言ってるのよ!」
私は悠真の口を慌てて塞いだ。
「ごめんね 高本さん… こいつこんな奴で」
「いえいえ 大丈夫ですよ。慣れてますから…」
私が中岡さんに微笑むと…
「何だよ、二人して…」
悠真がふて腐れながらブツブツと呟いていた。
「ハハハ まあ、とにかくお幸せに」
中岡さんは悠真の肩をポンと叩くと、笑いながら資料室を出て行った。
「じゃあ、私達も仕事に戻りますよ… 加瀬さん」
「はいはい… 分かりましたよ」
フッと笑いながら、悠真は私にキスをした。
[完]



