「いえ 私がいけなかったんです… 私、加瀬さんに気持ちがバレたら捨てられると思ってて…必死に隠してたから」
「もしかして、結城に何か言われてた?」
私は加瀬さんの言葉に黙って頷いた。
「何、言われたの?」
加瀬さんが真剣な表情で尋ねてきた。
「加瀬さんは体だけの割り切った関係しか望まないし、相手が本気だと分かったらバッサリ切り捨てるって」
「……ったく、あいつ ホントふざけんなよな」
加瀬さんが大きくため息をついた。
「あと 坂口さんのこともあったから…」
「坂口?」
これを聞くのは、やっぱり怖いけど…
ちゃんと確かめなければいけないと思った。
「加瀬さんって、坂口さんの家に泊まったことありますよね? 私、坂口さんから、加瀬さんが裸で眠っている写真見せられました… 一体加瀬さんと坂口さんって、どういう関係だったんですか」
「裸の写真… あー あの時の」
私の言葉に、どうやら心当たりのある様子…
私は思い切り落胆した。
「ホントだったんですね」
「あっ 沙耶 誤解すんなよ? 沙耶が思ってるようなことは何もないからな」
俯いた私の顔を覗き込みながら、加瀬さんが慌てたようにそう言った。
「え…」
「酔っ払った坂口を家まで送っていったら、Yシャツに吐かれたんだよ… 仕方なくあいつの家のシャワー借りて、シャツも洗ったんだけど… 着替えもないし裸のままじゃ帰れないだろ? 服を乾かしてる間、あいつんちのソファーで寝てたんだよ。坂口にはちゃんと誤解のないように翌朝説明したけど… 多分その時の写真をあいつが勝手に撮ったんだと思う。」
そう説明した加瀬さんの顔を見て
私はようやくホッとした。
「そういうことだったんですね… 実は、坂口さんが加瀬さんにフラれてるのを見た時、凄く複雑な気持ちだったんです。加瀬さんは、相手が本気になったら、いくら自分から手を出した相手でも容赦なく切るんだなあって… でも加瀬さんがそんな人じゃなくてホントに良かったです」
もちろん、加瀬さんと坂口さんが何もなかっことが何よりも嬉しかったけれど…
「え… おまえって、今朝のあれ見てたの?」
ギョッとした顔で加瀬さんが言った。
「すいません… ちょうど資料室に用があって…それで」
「そっか…」
ちょっとバツが悪そうに、加瀬さんが苦笑した。
「あの 加瀬さん…」
「ん?」
「私… 加瀬さんに、本気になってもいいですか?」
私は加瀬さんの顔をまっすぐに見つめた。
「なってもらわないと、俺が困るんだけど…」
耳元で甘く囁かれた。
「沙耶…」
そして、いつの間にか私は、ソファーの上で加瀬さんに組み敷かれていた。



