君が嫌い

『いや、それは遠慮しておきます。クビになったら笑えないからね。ハハハ。』


頬をポリポリと掻きながら苦笑いする。


ちょっと前まで仕事をサボろうと思ったら姉ちゃんに電話してもらうことが多かった。


自分以外の人が電話をするとあっさりサボれることに味をしめてどんどんサボりを加速させていった。


そしてある時気付いてしまった。
ここまで仕事行かなくても何も言われないのってつまり俺なんて必要ないんじゃないかと。


営業の仕事とはいえ、毎週1回か2回休んでるのに不審がらないのもおかしい。


もしこのままサボり続けたらいつか……。


そこからというものサボることはやめて勤勉になったとさ、めでたしめでたし。


だから姉ちゃんの厚意は嬉しいけどお願いは出来ない。


『クビになっちゃうのは大変だねー。だけどもしかっちゃんが働けなくなっても私が面倒見てあげるからね、一生。』