君が嫌い

泣き真似するならもっと上手にやりなよ。
こっちをチラチラ見てるのがもろにバレてるから。


面倒だから何も言わないけど。


『分かったよ、結衣姉ちゃん。』


そう呼ぶと姉ちゃんは満足したようで下手くそな嘘泣きをやめて笑顔を見せてくれた。









最寄駅に着いて解散しようといたところで姉ちゃんが口を開く。


『今日このあと時間ある?あるよね?お姉ちゃんお酒飲みたいんだー。だから飲みに行こう!居酒屋かかっちゃん宅か……どうする?』


何故この人は俺の話を聞かず暇だと断言出来るんだ。
もしかして最初から俺の話を聞くつもりがない?


これは明らかなコミュニケーション不足。
俺からしたらなんでこんな人が精神科医になれたのかさっぱり理解出来ない。


他の人が相手だと性格がガラッと変わったりするのだろうか。


『かっちゃーん?遠い目をしてるけどどうしたの?』


『えっ?あっ、いや。別に。』