君が嫌い

『うん?さおり?まあいいや。もしもし私だけど。』


プツッ。
ツーツーツー。


機械の乾いた音だけが耳に残る。
どうやら無意識の内に電話を切ってしまったようだ。


今、性悪女の声が聞こえた気がしたんだけど。


え?なんで?え?なんであいつ?


ルールルールルールールルールー


俺の思考を邪魔するかのように携帯の着信音が鳴る。
もしかたら俺の聞き間違えって事もあるしとりあえずもう一回でようかな。


『……はい。』


慎重に相手を見定めるために心を落ち着かせる。


『何で電話途中で切るわけ?そんなに私と連絡したくないって言うの?それは幾ら何でも酷いんじゃないの!!』


ああ、勘違いなんじゃない。
やはり電話の主はバカ女だった。


『急になんですか?忙しいので短く簡潔に伝えてください。』


このまま電話を切ったところでまたしつこく連絡してくるだろう。
とりあえず用件だけ聞くか。


でもなんでこいつが電話かけてきたのか見当もつかない。