君が嫌い

くぅぅぅぅ、そうやって言われると何だか照れ臭い。


人に思い出話をするのがこんなに恥ずかしいものだとは、俺ばっかりこんな気持ちでいるのは不公平だ。


『そっちは何か面白い思い出とかないの?』


『うーん、私はそういうのはあんまり……』


『ちょっとー、2人してイチャイチャするのずるいー。私も混ぜなされー。』


『うわっ!こんな狭いところに入ってくるなよ。』


口元から酒気をばら撒く姉ちゃんが俺とお嬢様の間に無理矢理入り込んでくる。


テーブルの向かい側ではボロボロになって横たわっている吉孝とそれを携帯で撮影している悠太の姿。


さしずめおもちゃが壊れたからその代替品ってわけか。


姉ちゃんのせいでお嬢様の思い出話聞きそびれるし最悪だ。
本当使えねぇな、吉孝。


『ねー聞いてるのー?私も会話に混ぜてっちゅ。』


『あーもう聞いてるよー。とりあえずアルコール臭いから離れて。』