君が嫌い

『やまぢゃーん、かっぢゃーんがゆるじでぐれないー。』


『先輩、どんまいっす。』


顔が涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになっている姉ちゃんを励ます吉孝。
果たしてどっちが年上なのだろうか。


『ごめんな、姉ちゃんに付き合わされてただけなのに酷い事言っちゃって。』


2人のやり取りを尻目にもう1人の女性に声をかける。


『う、ううん。べ、別に私は気にしてないから。それよりも結衣さん泣いてるけど放っておいていいの?』


自分の事より他人の気遣いをするなんて、前と大分性格変わった気がする。


『ああいう時の姉ちゃんはな、吉孝に任せとくのが1番なんだよ。』


その言葉の真意が理解出来ないらしく小首を傾げている。
姉ちゃんの性格を知らないからそういう反応が普通なのかもしれない。


『もう少ししたら分かるから見ててみ。』


1度頷く仕草を見せて2人の動向を食い入るように見つめ始める。