君が嫌い

『どうして今日家に来たの?』


隣に座っている年下の女の子に声をかける。
穏やかな口調できっと彼女にしか聞こえないであろう細い声で呟く。


彼女はその声に反応するかのように肩をピクつかせている。
表情は俯いていて読み取れないが、きっと俺の嫌いな表情。


『言いたくないなら無理しないで言わなくていいよから。俺も無理矢理来るなって言ったようなもんだから。』


自分で突き放しておいて虫のいい話だけど、やっぱり彼女が落ち込んでいる姿を見るのは好きじゃない。


『じゃあ楽しもうね。』


その場にいるのが気まずくなり彼女と距離を置こうと立ち上がる。


多分俺といるより姉ちゃんと話していた方が楽しいよな。
お嬢様には気付かれないように姉ちゃんに頼んでおくか。


『ん?』


お嬢様にズボンをぎゅっと握りしめられている。
まだ俺に何か用があるのかな。


座り直し彼女の動向を見守る。
何かを決意したように彼女の瞳は真っ直ぐ俺の瞳を捉える。