君が嫌い

『嘘だろ……。』


姉ちゃんから解放された吉孝の生気の無い掠れた声。
彼の表情からは、まるで世界の終わりを告げられ、絶望に打ちひしがれてように窺えた。


『この世界は理不尽な事象で満ち溢れている。何故寺澤みたいなチビで面倒臭がり屋のどうしようもないアホ面がモテて俺みたいに高身長で勤勉のクソ面がモテないんだ……。』


『自分の事も貶してるけど、大丈夫?』


『何だよ寺澤、少し可愛い子にモテたからって上から物言うのやめてくれない?』


『俺は別に上から話してるつもりなんてないんだけど。お前こそ自分の事何様だと思ってんだよ。』


睨み合いの展開、部屋の空気が一気にピリピリしたものになる。


『はいはーい、喧嘩はそこまでー。』


その空気の中、全く気にするそぶりを見せず仲裁に入ってくる姉(偽)。


『せっかく皆で集まった年末なんだから楽しくお話ししたいな。……ひっく。』


1人で飲み散らして酔っ払っているらしい。
……酔っ払ってる?