わたしの朝はなにも変わっていなかった。

六時半にセットしていた目覚ましで起きて、髪をとかして、変に目立たないように制服を着る。

「膝、おっけい。袖、おっけい。髪、おっけい!」

「真季(まき)!早く準備しなさい!」

「今行く〜!」

お母さんの言葉を聞きながら、階段を駆け下りる。

「高校に入ってから二年も経ったのに、相変わらずこの時間ねー。」

「別にいいじゃん。困んないんだし。」

「はいはい。もう行くんでしょ。」

「うん!行って来まーす。」

行ってらっしゃーい。という言葉を背に受けつつ、玄関の外に出る。

「今日もいい感じ!」

いい感じ。それはわたしにとって、志乃(しの)より目立たないでいること。

志乃より目立ったら、なにを言われるかわかんないじゃん。


だから今日も志乃を盛り上げる。