「……何で山瀬が泣きそうなの……?」 困った笑い顔をする白石くんの方が、泣きそうなのに。 私の顔も、泣きそうなのだろうか? 腕が狭められ、私たちの距離は再び、限りなくゼロになる。 「……僕、さ」 声が、近い。 「……うん」 呼吸する音も、そばで聞こえる。 頑張れば何枚もの布越しに、忙しない心搏(シンパク)が聞こえるかもしれない。