《えー、ご利用いただきまして有難うございます。駆け込み乗車は大変危険ですので、ご遠慮くださいますようお願い申し上げます》


 車掌がアナウンスする、鼻にかかったような声が車内に充満する。


 指摘されたのは、間違いなく自分たちのことで。

 顔を見合わせて、一瞬の沈黙の後。


 笑ってしまった。