暗い中を暗い顔をして歩く他の塾生が、訝しげな顔で白石くんを見ている。


 視線が痛い。

 もし自分が隣に居なかったら、確かに完全に不審者だよね。


「あー、可笑しかった。山さん、グッジョブ」

「笑いすぎですから。それより早く行かなきゃ乗り遅れるよ」

「え、もうそんな時間?」

「そんな時間」


 慌てて腕時計を見る白石くんに、すまして言った。