世間は聖なる夜や年末年始を目前に、こんなにも盛り上がっているのに。

 色の洪水のように、ありとあらゆる色が街中に溢れている。

 その中を、モノクロの受験生が横断する。

 それはまるで、インコの群れに間違って迷い込んだ烏のよう。


 恋愛に現つを抜かしている余裕や余力なんてほとんど残っていなくて、一番の欲求は睡眠と安息。

 色気もへったくれもあったもんじゃない。