Even if ...【短編小説】

口にしてから、バカかよ自分と自虐的になる。

いくら過去の恋とはいえ
一度恋した相手とこうして再会できたことで、
再燃してしまいそうになった。

案の定、八嶋先生はかなり驚いた様子を見せた。



「瀬上さんそんなに焦ってどうした?最近彼氏にフラれたりとかした?」

「いや、全く違います。彼氏はもう半年いないです。
9年前のあの日、我慢して私が八嶋先生に自分と付き合うようにせがまなかったから、
今日はもう我慢しなくていいやと思って。」



あの手紙を渡してから後悔していたところもあった。

親友である芽衣に隠れて自分の気持ちを八嶋先生に伝えつつも、
やはりどこかで罪悪感があった。

だから、先生に自分の気持ちを知ってもらう以上は
何も望もうとはしなかった。

あの頃の自分は友達想いの臆病者だった。