Even if ...【短編小説】

「そろそろ正念場かな。結婚できるかどうか。」



先生は左手の薬指をぼーっと見つめながら呟く。



「結婚したいんですか?」

「そりゃあな。本当なら30前後でしたかったけど、予定が大幅に狂っちゃったからな。」



ということは、今日私と八嶋先生が会わなければ
先生はもっと婚期を遅らせていたということか…。



「でもきっと恋愛結婚は無理だと思う。
年齢とか年収とか現実的なところばかり見て、
お互い半ば仕方なさに結婚前提のお付き合いとかしちゃうのかな。」

「それは未来にならないと分からないと思いますよ。」

「そりゃそうだな。」

「それとも私も結婚しますか?」