あああああ・・・ようやく戻ってきたんだ、この子が!そう思って泣けてきた。綾からは何かのスパイスの香りがして、温かくて柔らかかった。
伊織君に向かって折り曲げていた体を戻して、綾はよしよしと私の頭を撫でる。
「ジャムルとね、話したの。店に損害を与えてしまったし、私達は日本で暮らして、罪を償わなきゃならないねって。私はとりあえずここに来て、凪に謝りたかったのよ。これでようやく、夜もぐっすり眠れるわ」
綾も泣き声だった。
私たちはしばらく抱き合っておいおいと泣き、それからそういえば晩ご飯もまだだった、ということに気づく。
泣き笑いの顔のままで、綾と二人で台所に立つ。
伊織君はその間、突然出来た自分の姪をじっくりと観察していたようだった。
「あのね、実はね、ずっと思ってたのよ」
綾はソファーで娘を観察する伊織君をちらりと見ながら小声で言う。
「ん?」
「凪と伊織って合うだろうな~って。感性とか、そんなのが。初めて凪に会った時に、あれ?この子どこかで見たようなって思ってたの。あれ、判った。伊織が高校の時に片思いしてた女の子に、凪は感じが似てたの」
「・・・え、そうなんだ!?」
私が驚いて綾を見ると、彼女はにやりと笑って頷く。
「そうそう。で、あんたと一緒に暮らしだして、確信みたいなものを持ったのよ。伊織がここにいたら、きっと凪に惚れるってね。紹介したかったけれど、私達は20代は別々でお互いに依存せずに生きていこうって親の葬式の時に話してたから、連絡も取らなかった。それで会わせられなくて」
「そ、そうなんだ」



