「それによく思い出してみたら、あの時、ナギは俺を家に入れただろ?本当に男と同棲してるなら、俺が何を言ったって家に上げたりしないよなって思って。あわよくばとか考える、お前はそんな女じゃない。じゃああの男の人は何だ?って」

 私は自分を殴りたくなって目を瞑る。

 ・・・そうだ、この人は賢いのだった。その切れる頭で優秀な営業成績を上げていたのだ・・・。そんな細かいことまで思い出して!・・・やっぱり家に入れなきゃ良かった。

「で、新しい同居人かもって思ったんだよ。綾さんが結婚とか何かの都合で出て行って、ハウスメイトを変えたのかもって。でもナギってどちらかと言うと潔癖というか、倫理観はしっかりしてたよな。なのに異性と同居とか、そこがどうしても気に入らない。だから、菊池さんを待ち伏せしたんだ。それで聞き出した」

「えっ!?待ち伏せだったの?」

 つい叫んでしまった。思わずパッと手を口に当てる。弘平は前を見ながらうんと頷いた。

「事情を知ってそうな俺の知り合いといえば、菊池さんくらいだから。話は綾さんが一番詳しいだろうけど綾さんのことは全然判らない、でも菊池さんの勤め先は前のパーティーで判ってた。俺は暇だから、数日ぶらぶらしてたんだよ。そしたら出てくる菊池さんを発見して」

 ・・・あんたはストーカーかーっ!!!

 私は心の中で絶叫した。

 だけど、この行動力。これがあったから、弘平は保険会社で優秀な・・・以下略。