『お待たせいたしました』
『あぁ、ありがとうね』
客間に戻ると、初老の男性は私と同い年くらいの男の子の隣に座っていた。
さっき見ていた薔薇は、白い薔薇だけ少しだけ位置がずれているようだった。
手にとってご覧になられたらしい。そんなに気になったのかな。
『キミが淹れるのかい?』
『は、はい。一応バリスタの指導は受けております』
初対面の人にはよく言われることだからあっさり返す。
お前みたいな若いやつにでるのか!とどやされることもあるからこれくらい何でもない。
『へぇ、まだ若いだろうに』
『中学2年です。未熟ですが、ご容赦ください』
とか話ながら豆を並べる。好みは何だろう。
『お好みはありますか?』
『飲みやすいのがいいね』
『ではこちらをご用意します』
曖昧だなぁと思いながら豆を出して、ミルで豆を挽く。
手元を監視するような視線に気づかない振りでコーヒーを淹れ、初老の男性と同い年くらいの男の子の前に出す。


