私のご主人様Ⅱ


『お待たせいたしました』

『あぁ、ありがとうね』

客間に戻ると、初老の男性は私と同い年くらいの男の子の隣に座っていた。

さっき見ていた薔薇は、白い薔薇だけ少しだけ位置がずれているようだった。

手にとってご覧になられたらしい。そんなに気になったのかな。

『キミが淹れるのかい?』

『は、はい。一応バリスタの指導は受けております』

初対面の人にはよく言われることだからあっさり返す。

お前みたいな若いやつにでるのか!とどやされることもあるからこれくらい何でもない。

『へぇ、まだ若いだろうに』

『中学2年です。未熟ですが、ご容赦ください』

とか話ながら豆を並べる。好みは何だろう。

『お好みはありますか?』

『飲みやすいのがいいね』

『ではこちらをご用意します』

曖昧だなぁと思いながら豆を出して、ミルで豆を挽く。

手元を監視するような視線に気づかない振りでコーヒーを淹れ、初老の男性と同い年くらいの男の子の前に出す。