1日の仕事を終わらせて、部屋に戻って来た。

それにしても、まさか季龍さんに昔会っていたなんて…。しかも2年前くらいに?

全然記憶になかった。…むしろ、忘れた。あんなこと二度としないと記憶に鍵をかけていたんだと思う。

だけど、あれがなかったら、私はここにいなくて、今どうなっていたか分からなくて…。

「…“私の方が不幸中の幸いだよ”」

目を閉じる。鍵をかけた記憶を思い出す。

初めて季龍さんと源之助さんに会った、あの日のことを。