肩を掴まれたままなので向き合うことも出来ず、顔を上げて季龍さんを見上げる。

…けど、首が痛くなってきた。

「…」

は、離してくれないかな。本当に首が痛い…。

とりあえず視線を前に戻すと、目を丸くさせて固まった奏多さんと暁くんの姿がある。

なんで固まってるんだろう。…あ。

「!!?」

「琴音?」

「“コロッケ!コロッケ!!”」

焦げちゃうっ!すっかり忘れていたコロッケが油の中で浮いてる!しかもなんか焦げ茶色で!!

季龍さんの手を逃れてコロッケに駆け寄って油から上げる。ギ、ギリギリセーフ?コロッケは何とかまだ食べられそうな色をしていた。

はぁ、びっくりした…。数はまだあるのでまた入れて、箸を構える。もう焦らないもんね。

じっとコロッケを見ていると、頭をポンとされる。

「何かあったらすぐに言え」

それだけ言った季龍さんは台所を出ていく。伸洋さんもそれに続いて台所を出ていって、結局残ったのは私と奏多さんと暁くんだけ。

…季龍さんも心配、してくれたのかな。たとしたら、源之助さんどれだけ怖がられてるんだろう。

やっぱり今度会ったら聞いてみよう。そんなことを思いながらコロッケをあげ続けた。