「…季龍と梨々香と、よく話をしてやって欲しい。あの子達はたくさん傷ついておるから、心配で死ぬにしねんのだ。…キミなら季龍の隣に立てるだろうから」
「…?」
何とか感情を静めて顔をあげると、源之助さんは穏やかな顔で笑う。
だけど、その顔は突然力強く、決意に満ちたものになる。
「季龍と梨々香には好きな人と結婚させる。そして、孫の顔を見て死ぬ!それがわしの夢だ。…どうだ?いい夢だろう?」
「…“はい、とっても”」
それが、源之助さんにとっての幸せだというのならば、それ以上の幸せなんてない。
源之助さんは、まだまだ話足りないと言うように次から次に話を切り出していく。
昔のやんちゃ話や、初恋の話。季龍さんと梨々香さんの話。
面白おかしく、楽しそうに。自然と笑顔になれる話を次々に出してくれる。
楽しくて、自然と笑顔になれて、時間が過ぎるのがあっという間だった。
気付けば雨は止み、わずかに茜色に染まった空が見える。…茜色?