「いや、伸洋さん自分のところ戻って下さいよ」

「嫌だね。田部さんいたんじゃ飲めねぇじゃん」

無理矢理入ってきた伸洋さん。ちゃっかり箸は持ってきてたみたい。

「ここちゃんお酌して?ね?」

「伸洋さんやめてくださいって」

雰囲気をぶち壊していく伸洋さんに奏多さんが焦る。そうこうしていると、襖が突然開いて部屋の空気が一瞬で引き締まった。

先に姿を見せたのは田部さん。まるで転んだときに支えるようにその立ち方は構えにも似てる。

「そんな構えんでも転けないから安心せぇ!」

「とか言いながらここに来るまでで2回も転んでらっしゃるではないですか」

「それを言うなっ!」

…お?

姿を見せたのは白髪の優しげなおじいさん。ん?田部さんのリードを払いのけて上座に座られた。

…季龍さんのお父さん!?!?

え、いやお父さんってどう見ても70くらいですよね?お父さんというよりおじいさんでは?

え、どういうこと!?