「あれ、親父さんと田部さんの分どうするの?」
「こっちで食うらしい」
「ん?」
奏多さんはキョトンとした顔をしたかと思うと、神妙な表情になる。
「…琴音ちゃん、今日は大人しくしててね」
「?」
季龍さんのお父さんがいるからってなにか変わるのかな…。
とりあえず、季龍さんのお父さんと田部さんの分のご飯と味噌汁をつけ直して、準備を整える。
それが終わったら出来たよと呼びに回って、あっという間に季龍さんのお父さんと田部さん以外は集まった。
季龍さんのお父さんが来るからなのか、ちょっと緊張した空気が漂っている気がする。
「あー、奏多、ここちゃんこっち入れてー」
そんな空気をもろともしないのが伸洋さん。部屋の隅っこにいる私たちのところにやって来た。


