「邪魔するな」

「っえ?」

「葉月さんは、俺の友達だから。取るな」

ハッキリとした麻夏くんの言葉に高崎さんは口を閉ざす。

でも、その顔はすぐに余裕の色を取り戻した。

「琴音は、あなただけの友達じゃないよ。そういう独占欲みたいなのやめてあげなよ。琴音も迷惑だって」

「なら、あんたもやめてあげれば?葉月さん、俺が呼び止めても嫌がらないけど、あんたが近くにいるの嫌がってるじゃん」

「っ!?そんなことないよ。ね、琴音」

「…」

少し焦ったような顔。

高崎さん、本当に嫌なタイプだ。自分は悪くないと言うように、言葉巧みに相手を追い詰めようとする。

計算高くて、ずる賢い。こんな人に巻き込まれたくない。

捕まれていた手を振り払い、麻夏くんの背後に隠れる。

高崎さんの表情が初めて歪んだ。

「俺の方がいいって。…葉月さんを巻き込むな。性悪女」

「っ!?っ琴音のバカ!そんな変な頭して、友達もいなさそうだから心配してあげたのに!もう知らない!!」

一気にたてしまくると、背を向けて教室に入っていく高崎さんにホッと息を吐く。