「久しぶり~」

「課題終わったぁ?」

部屋中に響く声に懐かしさは感じるけれど、それ以上特に感じることもないままぼんやりする。

あれから日々は過ぎて、あっという間に夏休みは終わり、2学期が始まる。

旅行から帰って来た永塚組はまた日常に戻ったものの、以前より状況は落ち着いているのか、人の出入りはそんなに激しくなかった。

それを証拠に、暁くんと奏多さんが2人ともいないという状況にはならなかった。

結局、夏休み前に追いかけてきた車の正体も私は知らないまま、夏休みは終わり今日は始業式だ。

…でも、隣の席にいるはずの季龍さんの姿がない。今日は用があるらしく、伸洋さんから季龍さんの分の課題も預かってきた。

なにかは聞いてないけど、季龍さんがいないことは相変わらず多いから忙しいんだろうななんて思いながら空いている席をぼーっと見つめる。