「…琴音、来い」

「?」

呼ばれて首を動かすと鈍い痛みに顔をしかめる。

う、上向きすぎた。

季龍さんを見ると、手を差しのべられていてなぜか頬が熱くなる。恐る恐る手を伸ばし、その手に自分の手を重ねると力強く引かれる。

目の前にいる季龍さんに赤い頬を見られたくなくてうつむく。

やっぱり変だ。手握られるくらいどうでもないのに。奏多さんたちには抱きついてもこんな風にならないのに。

うつむき続けていると、頭にポンッと乗ったぬくもりに顔をあげる。

あ、頭撫でられてるっ!!

更に熱くなった頬どころか顔全体。頭が真っ白になって硬直した。

「…梨々香のこと、ありがとな」

「!?」

「お前のおかげで梨々香と話しやすくなったような気がする。…俺はずっと寂しい思ばかりさせていたから、梨々香も遠慮していたんだろう」

お、お礼を言われてるようなことじゃないのにっ!!

首を横に振ると、季龍さんは眉を潜めてしまう。