「あ、ありがとう…。っ嬉しい!」

「お礼なら俺らにじゃなくて琴音ちゃんに言ってやってくれ」

「そうそ。朝からずっと台所にこもってこれ全部作ってくれたんだぞ~」

「!?」

それは言わなくてもいいことなのにっ!

梨々香ちゃんが驚いて振り返って私を見る。その目が潤んでいくのを見てぎょっとした。

「っことねぇ!ありがとうっ!!」

「!?」

正面から飛び付かれて倒れそうになったところをなんとか堪える。力いっぱいに抱きついてくる梨々香ちゃんの肩が少し震えていて、頭を撫でるとぐりぐりと頬を押し付けられた。

「お嬢、いただきましょうよっ!」

「そうっすよ。せっかくの料理が冷めちゃいます」

「わかってるよぅ」

組員さんたちの声に梨々香ちゃんは目を擦って顔を上げる。