「お嬢、今度のフリーはここちゃん連れていっていいから…」

「今日がいいの!」

「お嬢…」

伸洋さんが珍しく押され気味。誕生日だって知ってるから強くは言えないみたい。

本当にどうしよう…。

伸洋さんと顔を見合わせていると、不意に肩を捕まれる。

振り返ると、まさかの季龍さんがいて頭を下げた。

「梨々香、行くぞ」

「っえ?…え??」

季龍さんの言葉に、梨々香ちゃんだけでなく、私も伸洋さんも驚く。

え、伸洋さんが頼んだ訳じゃないの?

驚いている間にも季龍さんは玄関から外に出ていってしまう。

「え、お兄ちゃん待って!!」

呆けていた梨々香ちゃんは大慌てで季龍さんを追って玄関から外へ飛び出していく。