腕を掴んでいる伸洋さんの手をぺちぺち叩くけど離してくれない。じーっと見つめると苦笑された。

「えーとね。デートってのは口実で、実は明後日お嬢の誕生日なんだよね」

「!?」

梨々香ちゃんの誕生日!?そんなこと聞いてない!!

どうしよう。梨々香ちゃんの好きなもの…。

「…その反応だと、やっぱお嬢言わなかったか。ここちゃんには言うと思ってたんだけどなぁ。とまぁ、そういうわけで明日俺とその買い出しに行こ?」

「コクン」

「んで、ここちゃんには悪いんだけど、明後日の夜ご飯任せていい?ケーキ作れる?」

「コクコク」

「さっすが。んじゃ、材料も揃えようね」

「コクン」

頷いてばかりだ。伸洋さんはこれで安心と言わんばかりに息を吐いた。