「おお、相変わらずきれいだなぁ」

「焼けるぞ~」

「ん…」

ざわつき始めた声に目を覚ます。

顔を上げると、季龍さんの顔が近くにあって飛び上がりそうになった。

すっかり寝込んでいたらしい。季龍さんがも目を閉じていて、一緒に寝ていたんだって思うと急に恥ずかしくなった。

「ことねぇ、お兄ちゃん!ついたよ!!」

「…あ?」

前の席から顔を見せた梨々香ちゃんの声に季龍さんが目を覚ます。

その隙に季龍さんから離れ、肩にかけられたままの上着をできるだけきれいに畳んだ。

と、寝る前までは閉じられていたカーテンが開け放たれていて、そこから見えた景色に目を奪われた。

太陽に照らされ、青に染まる海を背景に堂々とそびえる洋館は真っ白で、太陽の光を跳ね返すほど。

周囲を見ると立ち並んでいるのは豪邸ばかりで、目が眩む。

…日本だよね?ここ…。思わず確認してしまいたくなるほど、日常とはかけ離れた場所だ。